やがて、気を取り直してお化粧直しが始まりました。絡みつく根っこをそっと持ち上げ整理していくと、幹はだんだん整ってきます。枝をそろえ、根締めに吉祥草を植え、葉の一枚一枚から幹全体に水をかけて丁寧に洗い流すと、そこには思いがけない美丈夫が現れました。真っ白い幹の先は幾重にも分かれ、滴るばかりの緑の葉が、ガラス屋根ならではの木漏れ日をきらめかせながら、人々に涼しい木陰を提供してくれます。
あれから5年、1週間に一度は雨が降ったと同じように、葉や幹に満遍なく水をやると、ファイカスはすくすくと伸びて、今にも天井に届きそうです。屋内でこの生命力とは、さすがにジャングル出身、ちょっと油断をすると、またすぐに根が幹から垂れ下がってくるのだとか。ペイさんの選んだこの木は、ライムストーンに囲まれて、今日も木陰に人々を迎えています。 |