舎利容器

全ての人が涅槃に至りますように 舎利容器
中央アジア ガンダーラ
前1世紀末期
銀 石床屏風
中国・北朝 6世紀後期
白大理石 にぎやかな楽園 石床屏風

にぎやかな楽園
中央アジア出身のイラン系ソグド人は、シルクロードの立役者
彼らは中国本土の奥深くコロニーをひろげ、生涯を交易にささげた
北朝の葬制、石床は神聖な火水土を穢さない
彼らはしかしそこに、彼らのパラダイスに至る物語を刻んだ
そこには中央アジアの音楽、ダンスにあふれた、楽園でのにぎやかな宴がくりひろげられている
アレクサンドロス大王の東征以降、中央アジア・北西インドにギリシアの楽園のイメージが定着した
このガンダーラ型酒杯を組合せた舎利容器もその名残かもしれない
仏教に帰依したスキタイ系王子の一種の禁酒宣言にもみえるが、銘文には“これを仏塔に納め…全ての人が涅槃に至りますように”とある
全ての人が涅槃に至りますように 花鳥文碗

唐の詩情を刻む器 花鳥文碗

唐の詩情を刻む器
ソグド人の伝えた中央アジアの銀器は、唐で洗練され優美な器となった
この銀碗は一見中央アジアの碗を模しているが、西アジアの聖樹に番う羊や山羊がこの器では燕と雁に替っている
去来の別こそあれ、どちらも春の到来を告げるもの
ここには唐の詩情が刻まれている
花鳥文碗
中国・唐時代
7世紀後期─8世紀中期
銀に鍍金
馬小像
中国・前漢時代
前2世紀 金
北辺を侵す遊牧民に悩む漢の武帝は中央アジアの天馬を求めた
それは東西に聞こえた誉れ高きペルシア馬ニサイアの血統
大金と金の馬を持った派遣団が何度もおもむき、難航したがようやく数十頭の天馬を入手した
この金馬はこうして生れた東西を結ぶ道、シルクロードの扉をあける一翼をになったものだったかもしれない 馬小像

天馬のひらいた世界 色絵樹下人物図鉢

時代宗教をこえた楽園のかたち 時代宗教をこえた楽園のかたち
色絵樹下人物図鉢
イラン
12世紀末期─13世紀初期
複合陶土
樹下饗宴図皿

神の栄光を伝える器 イスラームの教導師は、西アジア古来の複雑な精神世界を呑み込む神秘主義、スーフィズムをとなえた
聖樹のイメージは古来イランの神話を形成してきた、聖なる海から生え出でるもの
サーサーン朝の銀器にも通じるこの陶器の場面には、時代、宗教をこえて息づく、永遠の楽園を求める熱情がやどっている
樹下饗宴図皿
サーサーン朝ペルシア
5世紀─6世紀
銀に鍍金
サーサーン朝ペルシア、それはギリシア人、遊牧民に征服された古代ペルシアの復活をめざし、南イランから興った
宴の席で賓客に贈られた銀器には、古代イランの神話伝説、国教ゾロアスター教の神から王が授かった栄光がこめられていた
この銀器を贈る慣習は、シルクロードを通じ中国にも伝わった
主催:MIHO MUSEUM  京都新聞
後援:滋賀県 滋賀県教育委員会 NHK大津放送局 BBCびわ湖放送 エフエム京都



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