20世紀イギリス陶芸の巨匠の一人であり、今日の陶芸に大きな影響を与えたハンス・コパー(1920-1981)。東西の陶芸文化に触れ伝統的な手法からやきものの美を追求したバーナード・リーチとは異なり、ルーシー・リーやコパーの作品は、都会的なモダンデザインや空間を意識した作品であるといえるでしょう。とりわけコパーの作品は、ロクロによって成形され、表面の装飾により陰影をはらみ洗練された彫刻作品のたたずまいをみせています。こうした点からコパーは、うつわを超えて陶芸の領域を広げ、新たな陶芸の美を見出した作家として、イギリスのみならず世界の20世紀における陶芸の展開に大きな足跡を残しました。
ナチスの迫害から逃れ1939年にはロンドンに亡命したハンス・コパーは、1946年ルーシー・リーのオートクチュールのボタン工房で、リーと出会い陶芸の世界に入りました。この日本初の回顧展では、リーとの共同制作の器からコパーの初期作品、器を超えたロクロによる彫刻的な美をみせる作品に至るまで、コパー芸術の数々を展示いたします。さらに、リーの作品約20点を加え、ルーシー・リーとの出会いにも注目しながら展示構成し、コパーの魅力をご紹介いたします。
