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![]() 収穫した大根を持つ小林さん |
吉野川の清流が続く徳島市。MIHO MUSEUM のレストランに野菜を提供していただいている農家のひとり、自然農法30年の経歴を持つ小林忠さんを訪ねた。 小林さんは昭和18年から32年間勤め上げた県庁を昭和50年に退職した。仕事柄、生活保護、身障者、精神病患者の生活、薬禍薬害など、多くの問題を目の当たりにしてきたが、どれについても決定的な解決策はなく、自分なりに何かよい方法はないものかと思っていた折、農薬や化学肥料、有機肥料を一切使用しない自然農法に出会った。 小林さんの栽培法はいたってシンプルだ。耕した畑に種をまき、刈ってきたばかりの茅をそのまま上から敷き詰めていく。この時のポイントは種を蒔いたら直ぐに草を敷くこと。そうすると種から芽を出す頃には草は乾燥して軽くなり、間があいて植物にとって丁度よい状態になる。この方法も長年の経験が編み出した一番無駄のないやり方だ。 |
「自然農法は物を作ろうとしたら絶対に失敗します。土を作るのです。土の善し悪しにできる作物は比例します。柔らかい土には柔らかい野菜、かちかちの土からは食べられるものは作れません。」雨が降ってもさらさらと水を通し、乾燥した日でも決して乾かない、ふっくらとした土の中から肌のきれいな野菜を掘り起こしてくれた。まさに農業の芸術を感じる一瞬である。 | ![]() 小林さんの畑で穫れた野菜 |
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