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り鮮やかな季節のパスタと一緒に運ばれてくると、ほとんど目に入らないかもしれない。パスタの横にそっと置かれた一見何でもないパンが今回の主役、ソフトオリーブパンだ。
私がいただいたのは、夏野菜のパスタ。みずみずしい夏野菜にしっかりした塩味がとても良く合う。トマトとオリーブオイルのソースの酸味もよく効いていて絶妙だ。口の中が、強い夏の味に満たされる。そこで、ちぎったそのパンをそっと口に入れてみる。なんてソフトなパンだろう、そしてほんのりとした甘さ、後にのこるわずかな塩味とオリーブオイルのしっとりとした感覚が味覚を癒してくれる。パンにバターを使用していたら、こうはいかないかもしれない。自己主張せず、パスタを最後まで楽しませてくれる。ソフトオリーブパンは、そんなパンである。しかし、この優しい味わいの裏には、実にたくさんのこだわりが隠されていたのだ。みなさんは「古代小麦」という言葉を聞いたことがあるだろうか。現代のパン用小麦は、人間の好みに合わせてグルテンの含有率が多くなるように品種改良されたものが多い。「古代小麦」は、小麦の原種に近いもので、人間の手が入っていない、古くから人間が食べてきた小麦をいうのだそうだ。近年、小麦アレルギーの人でも古代小麦の製品は食べられる場合もあり注目されている品種でもある。 |
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イタリア・トスカーナの農家、
アントネッラさんのオリーブオイル |
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思いを込めて丸める。
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古代小麦「レッドファイフ」にオリーブオイルを加える。
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大きく膨らむ。
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ソフトなパンの生地はとってもソフト。
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ときどきスチームを入れながら
大きく膨らむように焼いてゆく。 |
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そんな古代小麦が、化学肥料や農薬を使用しない秀明自然農法で作られ始めたことを知ったMIHO MUSEUMのパン職人が、乳製品であるバターも使わず、なるべく体に優しいパンを、という思いで作り上げたのがこのソフトオリーブパンなのである。 使用している古代小麦はカナダ産の「レッドファイフ」100パーセント。古代小麦はグルテンの量が少なくパンの膨らみが弱いという。しかし、そこはオレンジとブドウの天然酵母を十分に発酵させた中種を使うことでクリアしている。また、オリーブオイルは、イタリア・トスカーナ地方で秀明自然農法により栽培されたエキストラバージンオイルである。やはりグルテンが少ないことからくるパンのパサつきを、絶妙の配合で抑え爽やかな香りも与えてくれる。もうひとつパン職人がこだわったのが柔らかさである。グルテンが少なくやわらかいことを逆に利用し、さらにパンを大きく作ることで柔らかさを出す。これも歯の弱い方に食べやすいようにとの思いからの発案だ。 こんな職人の優しい思いのつまったソフトオリーブパン。現在は主に相性抜群のパスタの付け合わせで提供されているが、時にはパン売り場に並ぶこともあるそう。見つけたときは迷わず試してみることをお勧めしたい。 |
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