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口の中に広がるすっきりとした甘さ、そして深い余韻。MIHO MUSEUM でコーヒーを注文すると、ブラジル、ジャカランダ農場のコーヒーが運ばれてくる。たっぷりと注がれたカップを顔に近づけると、あたたかい湯気と豊かな香りが広がる。このコーヒーのマイルド感はどこからやってくるのだろう?豆が熟す頃に外皮と豆の間にできる甘い汁が、豆の天日干し中にじわじわと豆の内部に浸透していく。その甘味を引き出すように、ほど良くローストされた豆…でも、この味の秘密は他にもありそうだ。
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![]() 昨年の12月、ジャカランダ農場のカッシオ・フランコ・モレイラさんがMIHO MUSEUM にやって来た。おだやかな表情で農場とコーヒーの話をして下さった。農場の管理をしながらWWFの環境活動にも精を出す。彼のおじいさんは、ブラジルで初めて、コーヒー豆の有機栽培に取り組まれたカルロス・フランコさん。今から20年程前の事だ。当時、誰もが当たり前に使っていた農薬。ある日、畑に撒く液体を、間違えて飲んだ牛が死んでしまった…。こんなものをコーヒーの畑に撒いてはいけない!すぐに農薬の使用を止め、有機栽培に切りかえた。月日は流れ今から6年前のこと、MIHO MUSEUM の食材担当者のあつい想いに打たれジャカランダ農場に、秀明自然農法でコーヒーを栽培する特別なエリアが設けられた。農薬も化学肥料も、有機肥料さえも一切使わない秀明自然農法の畑だ。
秀明自然農法の畑では、自然の恵みに目を向けて、コーヒーの木が欲している環境を整えようと努力している。最近では、バナナ畑にコーヒーの苗木を植えたそうだ。バナナとコーヒーは、同じ土質を好みとても仲が良いからだ。また、コーヒーの木に交ざって背の高い木も見える。このペレイラという木は、暑い時期に青々とした葉っぱをたくさんつけて木陰を作ってくれるので、強い直射日光が苦手なコーヒーの木には、ありがたいパートナーだ。寒くなると葉を落とし、枯れ葉が根元をあたたかく包み込んでくれるし、葉のない枝の間からは太陽の光がよく入り、ほんわか大地をあたためる。そんな木たちが同居するのが、ジャカランダのコーヒー農場だ。一見ジャングルのよう?でも、これこそが自然の姿なのだ。
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ところで、現在ジャカランダ秀明自然農法の畑では、豆の収穫量が落ちているそうだ。それは、以前の有機肥料から栄養を吸っていた根っこがどんどん地下へ伸びて、土から十分に栄養を吸収しようとしている最中であり、もっと強くなる過程だからだと、カッシオさんは分析する。少しの疑いもなく、落ち着いて語る彼の言葉は自然体そのものだった。本物の土に到達する時、大地のエネルギーをたっぷりと吸い上げたコーヒーがさらに楽しみだ。
最後に付け加えると、ジャカランダ農場の作業は全て人力! バナナあり、斜面ありのジャングルみたいな畑だからという理由もあるけれど、その土地の人々が代々続けてきた労働を大事にしている。地元の人々がずっとそこに暮らしていく事、仕事を次世代に繋げていく事を大切にしている。ジャカランダ・コーヒーのマイルドで優しい味には、農場で働く人々を家族のように大切にしたカルロスおじいさんのあたたかい気持ちもこもっているのかもしれない。
カッシオさんの話をきいた後、胸の奥がじんわりあたたかくなった。人も自然も大切にするコーヒー作りを次世代に繋ぐジャカランダ農場のコーヒー、大地からの贈り物を是非、味わってみて下さい。
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