象と鯨図屏風 伊藤若冲筆 若冲と蕪村 図録解説
 六曲一双の屏風の右隻に陸地の王者である白象、左隻に海上の王者である黒鯨を描く。
 象は先をまるめた鼻を高くあげ、耳はゆで卵を思わせる二重の楕円形、口からは太い牙が上へ向かって伸び、大きな鳴き声をあげているようだ。炬燵にも似たどっしりとした体で、大地の上に足をたたんで座り、尻尾を巻いている。一方の鯨は、大きな体の一部が海面に浮き上がり、胴からは潮が勢いよく噴き出す。波の水しぶきや鯨の背びれには躍動感がある。陸と海、白と黒、などといった対比の中に、巨大な二つの動物の呼応が生まれている。なお本作品とほぼ同じ図柄の屏風が昭和初めのオークションに出ているが(現在の行方は不明)、象の背景や尻尾の有無、鯨や波の描写などに相違がある。
 詳しくは、本図録・辻論文を参照されたい。
 署名は各隻に「米斗翁八十二歳画」とあり、「藤女鈞印」(白文方印)、「若冲居士」(朱文円印)を捺す。

関連美術品
象と鯨図屏風 伊藤若冲筆