遮光器土偶 縄文時代晩期前葉 図録解説
縄文時代晩期の東北地方で隆盛した亀ヶ岡文化は、精巧に作られた土器と漆製品で知られるが、その亀ヶ岡文化を代表し象徴する最もよく知られたものが、この遮光器土偶である。その呼称は、目の部分の造形がまるで遮光器(ゴーグル、イヌイットの雪眼鏡など)のように見えることから坪井正五郎(1863-1913)によって付けられたが、土偶が遮光器を掛けているわけではなく、現在では極めて誇張された目の表現とみなされている。
遮光器土偶の変遷は五段階に細分される。この土偶の特徴を見ると、目はより丸みを帯びて大型化し、顔の大部分を占めている。鼻を示す小さなくぼみのついた突起は眉間に移り、口を表す小さな穴は両目の間に位置している。頸部は無文でよく研磨されており、その下には逆三角形の装飾が見られる。肩や腰の幅が広くなって、脚部は欠損するもののどっしりとした体くとなっている。これらの特徴から、この土偶の製作時期は縄文時代晩期の中葉前半期、遮光器土偶第三段階に比定できよう。頭部のくぼんだ部分に赤い彩色が残っており、当初は全体に朱が塗られていたと考えられる。
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76 遮光器土偶