この侍女図壁画は、固原の李賢墓から出土したものである。被葬者の李賢は、大周柱国大将軍、大都督、原州剌使の地位にあった人物で、その身分に相応しく、墓道、甬道、墓室の壁面には、楼闕、武人、侍女などが合計44幅も描かれていた。この侍女図は、墓室の南壁に描かれていた壁画の一部であり、丸い豊満な面貌に双髻に結った髪型をし、円領の衫さんの上に交領の外衣を着用している。壁画は、白い石灰で下塗りした上に、黒い線で人物の面貌や衣服が力強く描写されており、さらに注目すべきは面部や衣文に朱色の隈取りを施している点である。これは隈取りを用いた人物表現の早期の作例であり、北周の人物画の一端を知る上で極めて重要な絵画資料といえよう。(FS)

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侍女図壁画