応挙は仔犬、特に生まれて間もない仔犬たちを好んで描いたが、画材としてはそれまで日本の絵画には見られなかったものである。中でも茶系色で鼻筋の白い仔犬は数多く描いており、この作品にも登場している。雪の上で無邪気に戯れる5匹の仔犬たち。お尻を向けた愛らしい姿態やつぶらな瞳からは、応挙自身の優しさがこめられているように感じられる。落款には天明乙巳初夏とあり、孔雀図と同じ年に描かれたことがわかる。

関連美術品
仔犬図(円山応挙筆)