前5―前4世紀

高9.8 cm 径7.6 cm
 これは高脚杯の形状を模した香炉であったと想像される。底の丸まった脚には、器底の中心から細い刻線でうねりながら上にのぼる放射線が刻まれている。おそらくこれは香煙の立ち昇る様を表したものであろう。その上の器胎は縦長の花弁形の畝文で覆われ、脚と器胎の間には丸い凸帯と繊細なロータス・パルメット文の帯が巡らされている。上部の器口は斜めに切り取られた形状になっており、畝文は器の場所によって異なった長さになっている。器の内側口縁付近には等間隔に四つの輪が付けられているが、これを吊すためのものであったと想像される。

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香炉