前3―前2世紀
鍍金銀
高8.2 cm 径11.9 cm
 尖底の器胎に器口がほぼ垂直に立ち上がり、その口縁は外側に広がる。器底に鍍金を施した先端の丸い10弁の二重ロゼット文が施され、器胎は16個の、細長いアーチの枠の内側上部に男性の頭部を突き出した意匠で覆われ、その枠と男性の衣装、髪に鍍金が施されている。立体の人頭を器の装飾とする意匠は「メガラの杯」と呼ばれギリシャに古くからあるが、この伝統はニサで発見された有名なパルティア時代の象牙のリュトンにも見られる。このリュトンは一説にバクトリアで製作されたものではないかとも言われている。このことは、この鉢に付けられた男性頭部が、タフティ・サンギーンで発掘された象牙の海馬に見られる頭部の表現と近似していることからも、その可能性が指摘される。

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人頭装飾鉢