前三千年紀後期―前二千年紀初期
銀
高12.4 cm 径11.7 cm
この円筒形の銀杯には、3段に分かれて、階段状の意匠の鋸壁文によって構成された十字形が10組ずつ刻まれている。この意匠は早くはカスピ海東部の南トルクメニスタン・ナマーズガ文化二期(前四千年紀)頃より土器の文様に現れ、前三千年紀にはオクサス川(アム・ダリア)とその支流域や東イランの諸地域に広がった。この意匠は土器だけではなく、宝飾品やスタンプ印章にも適応されたが、実際の建築に見られる銃眼構造とのつながりが指摘され、何らか邪気を祓うような意味合いが込められていたと考えられる。
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鋸壁文円筒杯