リュトンは飲酒用あるいは液体を注ぐための容器で、アケメネス朝ペルシアではこの作品のように注口部が動物の前半身をかたどったものが流行した。ライオンの特徴を多く備えた空想の怪獣ライオン・グリフィンを表現している。額中央には円形の象嵌が施され、皺の一部にも象嵌材が残っている。風化が甚だしいが、いずれもガラスのようであり、額には青色のガラスが観察できる。色鮮やかに飾られていたのかもしれない。貴金属製のリュトンはアケメネス朝ペルシアの奢侈容器として極めて重要なものであり、このような素晴らしい作品が知られているが、図版59のようにガラスで作られた例もある。

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ライオン・グリフィン形リュトン