このブレスレットに付けられた鴨は前躯だけの姿になり、典型的なアケメネス朝のやり方で頭を後ろに向けている。この作品は中空の金管でできており、鴨の前駆はかつては色のついた貴石で丹念に象嵌されていた。一羽の鴨の嘴は瑪瑙製で、もう一羽のそれは紅玉髄である。鴨はいずれも環とは別々に作られ、当初は恐らく胸のところでつながっていたと見られる。ブレスレットを身につける為に、鴨は鋲を抜く事によって環から取り外す事が出来た。動物の頭が後ろを向いてその背に乗っているといった細部の表現は、アケメネス朝の常套様式を反映しているが、ある種の写実的な傾向や部分を着脱可能にする発想は同王朝以後のものであろうと想像される。
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鴨装飾ブレスレット