永享2年(1430)室町幕府6代将軍義教の側近,一色左京大夫持信が竹生島神社に奉納した本作品には、織田信長の2通の書状が添っている。

1通は,織田信長から磯野員昌宛の書状で,内容は,「竹生島の名物青葉の笛を見た。誰がどのような理由で竹生島に寄進したものか,また,これに添えられる小笛も由来があるようである。これらのことをつぶさに調査して知らせるように」というものである。

もう1通は,信長から竹生嶋惣山中宛の朱印状で,内容は,「青葉の笛は到来した。まことに見事な名物である。しばらく手元において見たのち返す。この笛を当山へ寄進したのは誰で,その子細はどのようなことか,これに添う小笛の由来についても知りたい。また,静所持という小鼓の胴は雷の蒔絵と聞く。ぜひ見たいものである。磯野に申しておくのでよろしく頼む」というものである。

信長と雷雲蒔絵鼓胴との関係を物語るものとしていっそうの歴史的な興味を感じさせる。

関連美術品
書状(織田信長筆)