腕輪本体を形作っている管には、細部にこだわった繊細なクロワゾネ細工によって、比類のないほど美しい装飾が施されている。中心的なモティーフは、先端部装飾として使われているヤギ科動物の縮小版である疾走する有翼のヤギ科動物が描かれた、等空間のパネルで構成されている。さらにこの文様は、三角形の連なる装飾帯で縁取られている。本来双方の腕輪とも、その本体の大部分に象嵌が施されていたものと考えられるが、現在ではほんの僅かしか残っていない。それでも容易に、鮮やかな色彩と豊かさを備えた腕輪を思い描くことができる。

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