側壁の傾斜が急なこの半球形の銀製鉢は、4段に配置された金のアップリケと、金箔で作られた底面いっぱいに広がる22弁の円花文でにぎやかに飾られている。ロータス花とパルメットの連繋文で構成された最上段の装飾帯で始まるこの鉢の装飾モティーフは、アケメネス期のレパートリーに極めて忠実に従っている。2番目の装飾帯には、頭を後方に向けて大股で歩いている合成動物が14頭見られる(現在1頭は失われている)。1本の角をもった牡牛頭スフィンクスと思われるこの動物は、かぎ形に曲がった特徴的な翼、体の側面に沿って浮き彫りで表現された第二の翼、そして様式化された筋肉組織をもつ姿で表現されている。これらの特徴は、円筒印章、衣服のアップリケ、建物の浮き彫りなどのようなアケメネス期の様々の美術品にみられるものである。2本の角を持った牡羊頭スフィンクスが12頭、次の装飾帯をめぐっており、さらにその下には、うなりながら大股で歩いている7頭のライオンが描かれている。ライオンは最もていねいに造形されており、開かれた口の中には門歯が見え、たてがみは規則正しい列をなして表現されており、肩部には8の字形の筋肉組織が表現されている.
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有翼獣文様鉢