近年、中央アジア・北バクトリア・オクサスのアケメネス朝時代の神殿址から発掘された矩形の金製奉納板には、一瘤駱駝を奉納する人物が貴石とガラスの象嵌で表現されていますが、このトルクのペンダント部分に表現された人物と作行き及び技法の点でかなり酷似しています。
この奉納板に表現された人物とこのトルクのペンダントに表現された人物の大きさはほぼ同大(約12mm)であり、輪郭を形成するセパレータの巾もほぼ一致(1mm)しています。
しかしながらその駱駝の形状は、後脚が短く胴体腹部の線は通常の前傾型ではなくむしろ後傾型であり、脚先は平たくはなく馬の蹄様の形に表現されています。
これはこの駱駝にあまり親しみのない――例えば地中海地域――職人の仕事ではなかったかと想像されます。
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ペンダント付トルク