ペルシャではこの二対の翼を持つ形象は、古くは紀元前6世紀アケメネス朝第一代のキュロス王の建てた帝都パサルガダエの門柱に浮彫で描かれていますが、この体勢は前8世紀アッシリアのサルゴン王の建てた新都デュル・シャルルキンの門柱に描かれた精霊に酷似しています。
パサルガダエの精霊はエラムの衣装を着け、エジプトの頭飾を着けていますが、アッシリアの原形を踏襲していることは疑いなく、他にも下の部分だけですが、短い衣装をつけた兵士、獅子精霊、魚衣を着けた精霊、牛人といったアッシリアの典型的な魔除けの図像をあらわした浮彫が残っています。
当時ペルシャは大きな建造物を建てる伝統も石彫の伝統もなく、新都の建設にあたり、征服した民族から人材を用いたと言われ、おそらくこれらの題材も借りて来ざるを得なかったものと考えられています。
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