これはペルセポリス出土と伝えられるエラムの銀製壺で、このカウナケスを着けた女性の立像と坐像が浮彫りで表現されています。
立像はこの壺に刻まれた文字から、エラムの女神ナルンデ、坐像は同じ女神またはその女神官であると考えられていますが、ナルンデはメソポタミアの天と地の女王イナンナに匹敵するものであったと思われます。
この壺の坐像と石製婦人坐像には多くの共通点があります。まず衣装は同様のカウナケス型の羊皮毛の房が三角形に下がった形式をとっています。
石製像の襟元から胸元にかけて半円形のえぐりがあり、他の類例と比較してそこには金の装飾板をつけていた可能性があるようですが、銀壺の坐像もやはり首から胸元にかけて、丸い首飾りをつけています。
また銀壺の二像はともにその衣装の裾から裸足を見せていますが、MIHO MUSEUMの石製像の下部右側には矩形の穴があけられ、ここに足の先が付けられていたのではないかと想像されます。
・Walther Hinz/ ALT-IRANISCHE FUNDE UND FORSCHUNGEN/ Berlin 1969;
・W.Hinz/ Zur Entzifferung Der Elamischen Strichschrift/ Iranica Antiqva II 1962
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