密教寺院では、本尊の前に大壇をしつらえ、壇上に密教法具と呼ばれる各種の法具を配置する。六器は火舎香炉を中心として左右に各三口ずつ配する台皿付きの碗で、閼伽・塗香・華鬘を盛るとされる。この六器は胴に子持ち三条の帯を巡らし、腰に間弁を入れた八葉の蓮弁を飾ったもので、低い高台を備え碗をのせる台皿を伴っている。薄手に鋳上げられ、轆轤挽きして整形して表面に鮮やかな鍍金を施す。碗や台皿は低平なつくりで、文様表現とともに平安時代末期の繊細華麗な趣がよく表れている。

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金銅六器